パーソナルトレーニングで健康被害多発ニュースに対する見解
2023年5月20日株式会社SAWAKI GYM代表の澤木一貴です。
緊急でこの記事を書いています。
最近、このような記事がメディアを賑わせています。
パーソナルトレーニングで健康被害多発 消費者庁、調査開始
要約すると、重い重量をトレーナーに持たされたことで腰椎を圧迫骨折したり、不適切な食事指導による健康被害が多発している、とのことです。
私は、過去に長くトレーナー養成の専門学校の講師や、トレーナー養成団体の理事を務めておりまして、このような問題が多発することは2015年あたりから危惧し発信してきました。なぜかというと、「トレーナー」ではなく、「トレーニー」レベルの人が簡単に「パーソナルトレーナー」を名乗ることができるようになったからです。
トレーナーとトレーニーの違い
●トレーナーとは、お客様のニーズに応えるために身体評価からプログラムの設計、きめ細かい指導をする運動指導のスペシャリスト。当然、体に関する基礎知識を十分に持っている。マッチョやナイスバディであったに越したことないが、焦点はあくまでお客様。
●トレーニーとは、トレーニングをこよなく愛する、まさに「トレーニングをする人」。体に関する知識は必ずしも必要ではない。趣味が高じて、トレーナーに転身する人もいる。
国家資格が存在せず、日米の多数の民間資格(健康運動指導士やNSCA CPT、JATI ATI、NESTA PFTなど)がそのトレーナーの品質を保証するはずだったのですが、資格がなくても働ける、と気づいた人たちの活躍によって資格の品質保証価値は落ちつつあります。実際、資格を持っていても何も身についていない人が多いという現実もあります。
ジムを探している、あるいはジムに通っているみなさんは、骨や筋肉・関節のこと、栄養や休養に関する知識がない人にパーソナルを担当されていたら恐ろしくないですか?業界告発みたいですが、そんなトレーナーが最近は多いんです。
パーソナルジムを探している人は、ホームページやSNSで検索をされることでしょう。スタイリッシュに作られたデザイン、優秀(そう)なプロフィールを見ただけでは、トレーナーの素性は分かりません。資格にしても1~2日で取れるイージーなものが表記されても一般の方は何だか分からないと思います。
このニュース記事のような「危険なトレーナー」が増えた背景には筋トレブームがあるようです。自らの肉体改造に成功した人が、自分がやってきたことを他人に教えたい、と思うようになり、ジムに就職・転職、または開業します。もちろん、パーソナルトレーナーを目指すに当たってしっかりと猛勉強されている人は問題ない訳です。
このように、現在のパーソナル業界は「トレーナー」と「トレーニー」が混在しています。一般のお客様は、カッコイイ体の人がいいトレーナーだという認識を持ちやすい傾向があるようです。しかし、必ずしもすごい体をしたトレーナーがいいトレーナーとは限りません(ボディコンテスト専門ジムはこの限りではないと思いますが)。トレーニーの延長のようなトレーナーの場合は、自分の経験値に頼った指導になり、どうしてもボディメイクが中心になりがちという傾向があります。それだとケガをさせてしまう恐れもありますし、とくに初心者の方には合わない場合もあると思います。
パーソナルトレーニングには、お客様それぞれの目的があります。高齢の方の健康づくりや転倒予防だったり、子どもの運動能力向上だったり、ダイエット目的だったり、いろいろなものが求められます。ジムを探す側の人は、どういうコンセプトのジムであるか、過去にどのような実績(学歴・指導経験など)があるかを、ご自身で確認をし、体験パーソナルを受けて、分からないことはどんどん聞いて、間違いのない選択をしていただきたいと思います。
私は、自らジム経営をしながらも他のジムのアドバイザーなどをしていますので、広くパーソナルトレーニング業界を観察しています。お困りのことがございましたら是非お気軽にご相談ください(澤木一貴)。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
株式会社SAWAKI GYMでは、パーソナルトレーナー、パーソナルトレーナーになりたい人のための勉強会の場「サワキジムアカデミー」を主催して、業界の安全性向上を目指しています。